はじめに
サウジアラビアの Vision 2030 では、国家の産業構造、観光、都市計画を同時に変える複数のプロジェクトが並行して進行していると報じられている。本記事は、公表情報に基づき、リヤド首都圏、西海岸・紅海エリア、北西部の NEOM を含む主要開発エリアを整理するものである。
2026 年 1 月 22 日に施行された非サウジ人による不動産所有法により、外国人による不動産取得が制度上可能になったとされる。ただし、具体的にどの地理的区域が対象になるかは、REGA が公布する地理的範囲文書の確定を待つ必要がある。本記事内の記述は、あくまで各プロジェクトの公表情報に基づく整理であり、投資推奨を目的としない。
I. リヤド首都圏
首都リヤドは、行政・金融・観光・エンタメの中枢として複数のプロジェクトが進行していると報じられている。
1. KAFD(King Abdullah Financial District)
- 所在地:リヤド北部(GPS: 24.763, 46.641)
- 想定用途:金融・オフィス集積、高級レジデンス、商業施設
- アクセス:主要幹線道路、リヤドメトロ結節点
- 公式:kafd.sa
2. Kingdom Centre
- 所在地:リヤド中心部(Al Olaya、GPS: 24.711, 46.674)
- 想定用途:既存の複合施設(展望スカイブリッジ、商業、ホテル)
- 公式:kingdomcentre.com.sa
3. Boulevard Riyadh City
- 所在地:リヤド北西部(GPS: 24.750, 46.613)
- 想定用途:エンタメ地区、商業・飲食のゾーン型運営
- 公式:Visit Saudi
4. Diriyah Gate
- 所在地:Diriyah(GPS: 24.733, 46.576)
- 総面積:約 14 km²(開発全体)
- 想定用途:At-Turaif(UNESCO 世界遺産)、高級ホテル・ブランドレジデンス、文化観光
- 総投資額・進捗は Diriyah Company の公表を参照
- 公式:diriyahcompany.sa
5. Qiddiya
- 所在地:リヤド南西部(GPS: 24.589, 46.333)
- 総面積:360 km² 超(開発全体)
- 想定用途:テーマパーク、モータースポーツ、スポーツ、大型エンタメ都市
- 総投資額・進捗は Qiddiya の公表を参照
- 公式:qiddiya.com
II. 西海岸・紅海エリア
西海岸は観光・物流・国際都市機能の強化が進み、紅海沿岸では大規模なリゾート開発が計画されていると報じられている。
6. Jeddah
- 所在地:ジェッダ(GPS: 21.543, 39.174)
- 想定用途:紅海最大級都市、港湾、旧市街(Al-Balad / UNESCO 世界遺産)
- アクセス:King Abdulaziz International Airport(JED)
7. The Red Sea Project
- 所在地:紅海沿岸(GPS: 25.505, 36.955)
- 総面積:約 28,000 km²
- 想定用途:島嶼リゾート、自然保護、再生可能エネルギー、国際空港(RSI)
- 総投資額・進捗は Red Sea Global の公表を参照
- 公式:redseaglobal.com
8. AMAALA
- 所在地:紅海沿岸(GPS: 26.644, 36.226)
- 総面積:約 4,155 km²(目安)
- 想定用途:ウェルネス、アート、スポーツ、ラグジュアリーホテル群
- 公式:amaala
III. NEOM
サウジ北西部(タブーク州)で計画されている大規模プロジェクト群として位置づけられている。
9. NEOM(The Line / Oxagon / Trojena / Sindalah)
- 所在地:タブーク州北西部(GPS: 28.131, 34.921)
- 総面積:約 26,500 km²
- 総投資額・進捗は NEOM 公式の公表を参照(面積・スケジュールについては見直しの可能性が報じられている)
- 想定構成:
- The Line:線状都市構想
- Oxagon:産業都市(港湾・製造・物流)
- Trojena:山岳リゾート
- Sindalah:ヨット・マリーナ島
- 公式:neom.com
注記:NEOM プロジェクトのスコープは、報道および財政環境の変化に伴い縮小・調整の可能性が指摘されている。詳細は本サイトの記事 saudi-pivot-neom-to-ai-wall-street-investor-implications を参照されたい。
主要地点間の距離(目安)
| 区間 | 距離(目安) |
|---|---|
| リヤド中心部 → KAFD | 約 10 km |
| リヤド中心部 → Diriyah | 約 15 km |
| リヤド中心部 → Qiddiya | 約 45 km |
| リヤド → ジェッダ | 約 950 km |
| ジェッダ → Red Sea Project | 約 573 km |
| Riyadh → NEOM | 約 1,350 km(目安) |
移動手段・道路状況・出発地点により変動する。
外国人投資家向けの実務論点
制度の枠組み
2026 年 1 月 22 日施行の非サウジ人による不動産所有法により、外国人による不動産取得が制度上認められたと報じられている。取得可能な地理的区域は、REGA が指定する「地理的範囲文書」で明示される予定であると発表されている。
取引コスト
- RETT(不動産取引税):5%
- REGA 所有手数料:4 都市内(リヤド・マッカ・マディーナ・ジェッダ)で 2%(法律上の上限 5%)、4 都市外は 0%
- VAT とは別建て。取得検討時には RETT と合算して試算する
保有主体の選定
外国個人、外国法人、外国株主を持つサウジ国内法人、上場企業・投資ファンドなど、保有主体の類型により取り扱いが異なるとされる。詳細は本サイトの記事 saudi-arabia-foreign-property-ownership-law-2026 を参照されたい。
サウジ側と日本側の課税
サウジ側での個人賃貸所得の課税枠組みは、ZATCA の公表資料を前提とする。日本の居住者・内国法人は全世界所得課税の対象となるため、サウジで発生する不動産所得・売却益についても日本国内で申告・課税の対象になる。 日サ租税条約の適用範囲、外国税額控除の可否は税理士等の有資格専門家に確認されたい。
まとめ
Vision 2030 のもとで計画されている複数の開発エリアは、それぞれ独自のスコープと投資規模を持つ。各プロジェクトの進捗、施行細則の運用、地理的範囲文書の公布に応じて、外国人投資家にとってのアクセス可能性は変化する見込みである。本記事は情報整理を目的とし、特定エリア・特定物件への投資推奨を行うものではない。実際の投資判断は、最新の公式情報、および現地弁護士・税理士等の専門家への相談を前提とされたい。